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ドキュメント撮影を終えて
YAMATO インタビュー

Q:《CQ!CQ!This is POST CAMP》の制作や撮影のプロセスはいかがでしたか?

2022 年春より、渋谷区立松濤美術館主催の企画展「装いの力 異性装の日本史」へ、シモーヌ深雪さん、D・K・ウラヂさんを中心とした演出がなされた DIAMONDS ARE FOEVER によるインスタレーションの制作協力、そしてドキュメント記録の撮影を担いました。DIAMONDS をオーガナイズされているシモーヌ深雪さんや DJLaLa さん、レギュラーメンバーであるドラァグクイーンのみなさんと関わるのも、初めてのことであったのですが、正直、京都メトロの現場に入ったときにはわからないことばかりでした。
例えば、「こういう風に撮影してほしい」というイメージを伝えられるのですが、ポージングやメイクアップした顔のシュート、角度など納得されるところや展示の最終イメージがまだみえず、迷いながら撮影を続けていたという状態でした。僕が担当した撮影は、展覧会の入口に設置された「神々の黄昏記念撮影」等身パネル、展示室内の「人口冬眠カプセル」です。
でも、実際に展示されたインスタレーションを観た時は、ものすごくまとまって完成されていて...。本当に驚きました。これまで、多くの方が関わられるグループでの制作はそのプロセス段階も全メンバーが完全に理解しておくべきだと考えていたのですが、1 つの核となる演出に確固たるテーマやメッセージがあれば、全員がそのゴールを目指すことで作品は成立するのだと。シモーヌさんたちが考えていたことが、やっと秋になって、展示当日に共有できたように思います。


Q:「Peek a Queen ドラァグクイーンによる絵本読み聞かせ」は、どのように観ていましたか?

8 月にロームシアター京都で開催された「ドラァグクイーンによる絵本読み聞かせ」は、客席の最終列から撮影しました。このプログラムも、初めて参加しました。普段、子どもたちはテレビや youtube では、ドラァグクイーンを観る機会が増えてきていると思いますが、こうして生の舞台で実際に体験することはなかなかないので、斬新な体験になるのだろうと思いながら撮影していました。子どもの頃から「ままごと」ではない、普段コミュニティで行われている本格的なドラァグクイーンの姿やショーを観ることで、こういう変わった人たちが「当たり前に居るんだ」と知っておくことがこのプログラムの 1 番の醍醐味だと感じました。
客席に座る子どもや大人の反応をじっくり観る余裕は正直なかったけれど、途中でサプライズ的に登場した、レインボーフラッグについては、今は LGBTQA をはじめとするセクシュアルマイノリティの象徴とされているけど、本当は「誰にでも当てはまる、みんなの象徴」にならないといけないんだと思います。理想は、レインボーフラッグ自体がなくなることなんじゃないかと思いました。

 

Q:セクシュアルマイノリティのコミュニティから生まれた表現を撮影することについてどう考えていますか?

僕がいま関わっているのはゲイコミュニティですが、カメラや写真の撮影をはじめたときは、何か伝えたいメッセージがあったわけではありません。でも、コミュニティセンターや仲間と展覧会を続けているうちに、何を表現したいんだろう、撮影したいんだろうと考えたときに自分の性をテーマにすることがやっぱり軸になるんだと段々気づいていきました。
今は、自分の性について、セクシュアリティについて僕が撮影した記録や写真を介して伝えていきたいと思います。特に、ゲイタウンがあったり、コミュニティが大きい東京や大阪、名古屋などであれば、そんなに説明が大変ではないと思うけれど、活動の地域が変わるととたんに説明しづらい状況がある。きっと、全国どの地域にも、ゲイだけじゃなくて、セクシュアルマイノリティは絶対居るのに、周りの状況で性のことを伝えようとする表現が理解されない場合もまだまだあるのだと思います。
すぐにどうにかなることではないけれど、自分の写真を発表したり発信することで、少しずつ世の中や住んでる地域の人たちにも、僕らも含めて「居て当たり前」ということが伝えられたらいいなと思います。


Q:今後の活動について教えてください。


今後は、出身地域にあるセクシュアルマイノリティに関わる活動をされている NGO や NPO団体、コミュニティの人たちともっとつながっていきたいとおもっています。大阪を拠点に活動してきたことを伝えていきたいし、写真の制作や撮影を通じて、様々なエリアで活動する人たちをつなぐ役割を担っていけたらいいと考えています。
コミュニティのキーパーソンとの関わりで気づいたことこれは、質問にはなかったのですが、感想を言ってもいいですか?シモーヌさんたちのことは、前から知っていたし、クラブではもちろんショーも見たこともあったんですけど、僕は今回初めて京都メトロに行ったんです。DIAMONDS のパーティ前に撮影していたので、そのままショータイムも観ていたんですが。で、なんか、クイーンと DJ のみなさんと、お客さんと、スタッフを含めたクラブの一体感というか、「みんな、ここを愛してる感」があって。
クイーンのキャラクターも全員バラバラだし、曲の選曲とかテイストも違うのに、仲が良いというよりお互い認め合って、パーティ全体で交わっている感じが本当に良いと思いました。こういうクラブというか、場は初めて見たかもしれません。作品用の撮影もドキュメントも良い経験になったし、面白かったけれど。実は、このパーティの一体感が、今回 1 番印象に残った日でした。

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